今回は、日立市にある日鉱記念館をご紹介します。

日立市は、同名の電機メーカーがあることで知られるように、日本でも有数の企業城下町です。その日立市が発展する原点となったのが、かつて稼働していた日立鉱山(略して「日鉱」)です。

鉱山が育んだ街の歴史を辿る

その歴史は古く、古くは16世紀に常陸国(ひたちのくに=現在の茨城県)を支配していた佐竹氏が、同じ地域の鉱山を採掘していたことが分かっています。その後、江戸から明治時代、技術と資金の面で鉱山採掘は苦難を極めつつ断続的に行われました。

 

そして1905年、ついに日立鉱山は軌道に乗ります。一方で、銅製錬によって発生する亜硫酸ガスにより、近隣の山林がはげ山になるという事態も発生しました。その解決策として、煙害に強いオオシマザクラが、次いでソメイヨシノが植えられました。現在、多くの人の目を楽しませてくれる日立市の桜には、こんな秘話があるのです。

また煙害を軽減するため、1915年には神峰山山頂に高さ155mの大煙突も建てられ、日立市のシンボルともなりました。

 

しかし1981年9月、日立鉱山は鉱石を掘り尽くして閉山。残った大煙突も1993年に1/3を残して倒壊してしまいました。

 

前置きが長くなりましたが、その跡地に作られたのが日鉱記念館です。

入ってすぐに鉱山資料館があり、実際に使われた削岩機やトロッコなどが展示されています。また本館には、日立鉱山の歴史、鉱石など数々の資料、模擬坑道などが展示されています。

入場無料!木陰の歴史博物館へ

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そして、敷地内には、実際に使われた第一竪坑入口もあり、近くから見ることもできます(↑の写真中央、半円形の部分)。

日鉱記念館の入場料は無料です。構内には綺麗に整備された木陰が多くあり、かつて日本の近代化と工業化を支えた跡地は緑の中に静まりかえっています。意外なデートスポットとしてもよし、夏休みの自由研究の題材としてもよし、あまり知られてはいませんが、非常に多くの発見ができる場所です。

ぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。