親の家の活用方法とは?
~相続前と相続後~
親が高齢になってくると、親が住んでいる家を今後どのようにしたらよいのか悩むこともあるでしょう。
親が高齢者施設に入居することになったり子どもと同居することになったりすると、親が住んでいる家は空き家になってしまいますから。
親が高齢になるにつれて判断能力に疑問がでてくることがあります。
このようなときには「売却や賃貸など活用できなくなるのか」も心配になることもあるでしょう。
この記事では、高齢になった親の家を活用する方法や、親の判断能力に不安が生じるおそれがあるときの対処方法などについて解説します。
高齢の親の家を活用する6つの方法
高齢の親の家を活用する方法はいくつかあります。
ここでは6つの方法を紹介しますので参考にしてください。
- リフォームして住み続ける
バリアフリー化や耐震補強などを行い、親が安全に快適に住み続けられるようにリフォームする方法です。
- 二世帯住宅に改装
親と同居するために、家を二世帯住宅に改装する方法です。
プライバシーを保ちながらも、親の近くでサポートできるメリットがあります。
- 賃貸に出す
親が高齢者施設など別の場所に住む場合、家を賃貸物件として貸し出すことができます。
収益を得ることができる一方で、管理の手間も考慮する必要があります。
- 売却する
家を売却して現金化する方法です。
特に維持管理が難しい場合や、親が他の場所に住むことを希望する場合に有効です。
- 駐車場やトランクルームにする
家を取り壊して駐車場やトランクルームとして活用する方法です。
特に都市部では需要が高いです。
- 高齢者向け施設に改装
高齢者向けのデイサービスやグループホームなどの施設に改装する方法です。
地域のニーズに応じて活用できます。
親の家の活用方法は、親の健康状態や希望、家の状態や立地条件によって異なります。
具体的な状況に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。
親が亡くなって相続したときも、これらが基本的な選択肢になります。
どの方法が最適か迷った場合は、専門家に相談するのも良いでしょう。
親の家を売却する際の手続きや税金
親の家を売却することになったときには、売却の手順や税金について、以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。
売却の手順
不動産の売却は以下の手順で進んでいきます。
- 不動産会社の選定
信頼できる不動産会社を選び、売却の相談をします。
複数の会社に査定を依頼し、比較することをお勧めします。
- 売却価格の決定
不動産会社の査定結果を基に、売却価格を決定します。
市場の動向や物件の状態を考慮して価格を設定します。
- 媒介契約の締結
不動産会社と媒介契約を結びます。
専任媒介契約や一般媒介契約など、媒介契約の種類を選びます。
- 売却活動
不動産会社が広告や内覧会を通じて買い手を探します。
内覧の際には、物件をきれいに保つことが重要です。
- 売買契約の締結
買い手が見つかったら、売買契約を締結します。
契約書の内容をよく確認し、必要な書類を準備します。
- 引き渡しと決済
売買契約後、物件の引き渡しと決済を行います。
引き渡し前に物件の状態を確認し、問題がないことを確認します。
税金について
- 譲渡所得税
不動産を売却して利益が出た場合、その利益は「譲渡所得」として課税されます。
譲渡所得は、売却価格から取得費用や譲渡費用を差し引いて計算されます。
- 3,000万円の特別控除
自宅(マイホーム)を売却する場合、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。
この特例を受けるためには、確定申告が必要です。
- 軽減税率の特例
所有期間が10年を超える自宅を売却した場合、譲渡所得に対する税率が軽減されます。
6,000万円以下の部分は10%、6,000万円を超える部分は15%の税率が適用されます。
- 確定申告
売却した年の翌年に確定申告を行う必要があります。
必要な書類を準備し、税務署に提出します。
- その他の特例
買い換え特例や譲渡損失の特例など、状況に応じて適用できる特例があります。
詳細は税理士に相談することをお勧めします。
親の判断能力によって異なる家の処分方法
高齢になると親の判断能力に違いがでてくることがあります。
親の判断能力によって家の処分方法は異なります。
以下に、親の判断能力がある場合とない場合の処分方法について説明します。
判断能力がある場合
親が自分で判断できる場合、家の売却や賃貸の手続きを親自身が行います。
子どもがサポートすることはできますが、最終的な決定は親が行います。
親が手続きに参加するのが難しい場合でも、委任状を作成して子どもに手続きを任せることができます。
この場合、親の意思が明確であることが重要です。
判断能力がない場合
親が認知症などで判断能力が低下している場合、成年後見制度を利用します。
成年後見人が選任され、親に代わって財産管理や家の売却手続きを行います。
法定後見制度
法定後見制度には「後見」「保佐」「補助」の3種類があります。
親の判断能力の程度に応じて、適切な後見人等が選ばれます。
後見人は家庭裁判所の監督のもとで親の財産を管理し、必要な手続きを行います。
任意後見制度
親が判断能力を失う前に、子どもなど信頼できる人とあらかじめ任意後見契約を結んでおく方法です。
親が判断能力を失った際に、任意後見人が財産管理や契約手続きを代行します。
注意点
不動産の売却や賃貸には、親の意思確認が必要です。
判断能力がある場合は親の意思を尊重し、判断能力がない場合は成年後見人が親の利益を最優先に考えて行動します。
家庭裁判所の関与
成年後見制度を利用する場合、家庭裁判所に申し立てを行い、後見人の選任や監督が行われます。
手続きには時間がかかることがあります。
また、自宅を売却するときには特別に家庭裁判所の許可が必要になることにも注意しましょう。
以上のように親の判断能力に応じて、適切な方法を選ぶことが重要です。
具体的な状況に応じて、専門家に相談することをお勧めします。
親の家を売却するときに利用できる税金特例
亡くなった後に親の家を売却する際には、いくつかの税金特例があります。
以下に代表的なものを紹介します。
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除
親(被相続人)が住んでいた家を相続し、その家を売却する場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除することができます。
要件:
- 1981年5月31日以前に建築された家屋であること。
- 区分所有建物登記がされていないこと。
- 相続の直前まで親が一人で住んでいたこと。
- 売却代金が1億円以下であること。
- 相続開始から3年以内に売却すること。
- 売却時に一定の耐震基準を満たすか、取り壊して売却すること。
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除
親が住んでいた家を売却する場合、所有期間に関係なく譲渡所得から最高3,000万円を控除することができます。
要件:
- 売却する家が親の居住用財産であること。
- 売却代金が1億円以下であること。
- 売却時に他の特例を適用していないこと。
取得費加算の特例
相続により取得した不動産を売却する場合、相続税の一部を取得費に加算することができます。
これにより、譲渡所得が減少し、税負担が軽減されます。
要件:
- 相続開始から3年10ヶ月以内に売却すること。
- 相続税が課税されていること。
これらの特例を適用するためには、確定申告が必要です。
具体的な手続きや要件については、税理士に相談することをお勧めします。
まとめ
親が高齢になってくると亡くなった後はもちろんのこと、生前にも家をどう活用するのがよいのか気になるところです。
生前は所有者である親の気持ち(意思)が尊重されるべきなのは当然です。
売却する意思がなければ親の意思にそって活用方法を考えるのが大事でしょう。
亡くなった後では、相続人が住まないのであれば空き家にしておくと防犯上や管理上の面で不安が大きいため他に活用方法がないのであれば、親が住んでいた家なら税金面での優遇もあるので売却するのもよいでしょう。
将来をみすえて親が元気なうちから家族間でよく話し合っておくことをおすすめします。