低廉な空き家等の仲介手数料
のルールが変わる?
低廉な空き家(売買代金(消費税を含まない)又は交換にかかる価格が一定の金額以下の土地又は建物を指します。)の売買取引について、仲介手数料が値上げされることになりました。
この記事では、低廉空き家の仲介手数料がどのように変更されたのか、また、その与える影響について解説します。
低廉空き家の仲介手数料が値上げ
国土交通省は、空き家の流通を促進するために、800万円以下の低廉な空き家等の売買に関する仲介手数料の上限を引き上げる宅地建物取引業法の一部改正案を公表しました。
この改正案の主な内容は以下の通りです。
- 仲介手数料の上限引き上げ
現行の規定では、400万円以下の物件の場合、仲介手数料の上限は売買価格の4%~5%または特例により売主からは18万円を限度に請求できます。
改正案では、800万円以下の物件に対しても、仲介手数料を従来の規定より多く受け取ることができるようになります。
- 報酬額の変更
低廉な空き家等の売買や交換で、売主依頼による現地調査費用が発生した場合、通常の仲介手数料と合計で最大18万円(税抜)まで請求できたものが、改正案では最大30万円(税抜)まで売主だけでなく買主にも請求できるようになります。
- 特例制度の対象拡大
売却額400万円以下の空き家に適用する特例制度の対象を800万円以下に広げることで、より多くの空き家が市場に流通することを期待しています。
この改正は、空き家問題の解決に向けた政府の取り組みの一環として提案されており、不動産業者が空き家の売買に積極的に関与することを促すことを目的としています。
パブリックコメントは2024年5月31日まで実施され、同年6月中に公布して、7月1日に施行予定です。
この改正により、空き家の流通が活性化し、空き家問題が緩和されることが期待されています。
以前の改正
2018年1月にも宅地建物取引業法に関する仲介手数料の改正されており、内容については以下の通りです。
- 改正前
物件売買価格が400万円以下の場合、仲介手数料は最大でも18万円となり、400万円未満だと18万円に届かないこともありました。
- 改正後
物件売買価格が400万円以下の場合、売主から受け取ることができる仲介手数料の上限が18万円に引き上げられました。
仲介手数料の計算方法
不動産売買の仲介手数料の計算方法について確認しておきましょう。
不動産仲介手数料については宅地建物取引業法において、以下のように定められています。
(報酬) 第四十六条 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。 2 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。 3 国土交通大臣は、第一項の報酬の額を定めたときは、これを告示しなければならない。 4 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、第一項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。 |
国土交通大臣が定める別表へのリンクがこちらです。
宅地建物取 引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額
要約すると以下のようになります。
売買価格(消費税を含まない額です) | 報酬額の割合(報酬に消費税が加算されます) |
200万円まで | 5% |
200万円超し~400万円 | 4% |
400万円超し~ | 3% |
このように法定上限額は3段階に分類されています。
仮に500万円の売買価格だとすると、以下のように計算します。
200万円×5%=10万円
200万円×4%=8万円
100万円×3%=3万円
このケースだと10万円+8万円+3万円となり、報酬限度額は21万円になります。
(実際には消費税が加算されるので注意しましょう。)
一般的に仲介手数料が(3%+6万円)と言われるのは次の理由からです。
200万円×(5%-3%)=4万円
200万円×(4%-3%)=2万円
500万円×3%=15万円(上記の計算で控除した3%を一緒に計算)
報酬限度額は15万円+(4万円+2万円)=21万円となります。
このように400万円を超える売買価格だと売買価格に3%をかけて400万円までの報酬額6万円を加算することで簡単に計算できるためです。
仮に800万円の売却価格だと(800万円×3%+6万円=30万円)ですので、今回の改正は800万円に届かない売却価格であっても最大値である30万円まで請求できることになったということです。
まとめ
今回の低廉空き家の売買仲介手数料が値上げされて最低額が保証されたことにより、不動産業者は公告費用など販売活動に資金を投入する余裕ができることで、今まで仲介に積極的に関わってこなかった大手の不動産仲介会社も参入することが期待できます。
一方では、投資目的で低廉空き家の購入を検討する投資家にとってはコストがかかるようになりました。
低廉空き家の売却を検討する方は、今後は不動産会社の販売活動が活発化することが期待できる反面、購入される方のコスト増による購入層の変化も見極める必要があるでしょう。
詳しくは、地域専門スタッフがご提案いたします。空き家の売却をご検討中の方、まずは、イエステーションへご相談ください。