不動産を売りたい!
何から始める?
いざ不動産を売却しようと思っても、まず何から始めたらよいのか初めてだと悩んでしまいます。不動産は高額なため、一生のうちで売買を経験するのは1回や2回の方がほとんどなので当然の悩みでしょう。そこでこの記事では、不動産を売却するときの方法や売却するために準備すること、売却にかかる費用など不動産売却にあたって不安に思われることが多い点について解説します。
不動産の売却方法
不動産売却には、主に以下の4つの方法があります。
それぞれにメリットやデメリットがあるので、自分の状況や目的に合わせて選ぶことが大切です。
- 不動産会社に仲介を依頼する方法
不動産会社が買主を探してくれる代わりに、仲介手数料を支払う必要があります。
一般的には、(売却価格の3%+ 6万円+消費税)が相場です。
この方法のメリットは、不動産会社が売却活動や契約手続きなどを代行してくれることです。
デメリットは、仲介手数料が発生することです。
- 不動産会社に買取を依頼する方法
不動産会社が直接物件を買い取ってくれるため、仲介手数料は発生しません。
また、売却期間や条件の交渉も不要です。
この方法のメリットは、スピーディーに売却できることや、売却後のトラブルが少ないことです。
デメリットは、買取価格が相場より安くなることや、買取対象となる物件が限られることです。
- 個人売買(自力売却)する方法
自分で買主を探して直接契約するため、仲介手数料や買取価格の差額は発生しません。
この方法のメリットは、コストを抑えられることや、自分で価格や条件を決められることです。
デメリットは、売却活動や契約手続きなどに時間や労力がかかることや、トラブルが発生するリスクが高いことです。
- 入札方式で売却する方法
インターネット上で複数の不動産会社から入札を受けて最高額の会社に売却する方法です。
この方法のメリットは、競争原理によって高値で売却できる可能性があることや、入札サイトが契約手続きなどをサポートしてくれることです。
デメリットは、入札サイトに登録料や成約時手数料を支払う必要があることや、入札サイトによってサービス内容や信頼性が異なることです。
不動産売却の流れ
不動産売却にはいくつかの方法がありますが、一般的な流れは以下のようになります。
- 売りたい不動産の相場を調べる
インターネットや不動産情報誌などで、同じ地域や同じ種類の物件の売却価格を比較してみましょう。
また、国土交通省の土地総合情報システムや不動産ポータルサイトで、簡易査定を行うこともできます。
- 複数の不動産会社に査定依頼をする
査定は簡易査定と訪問査定の2種類がありますが、より正確な査定価格を知るためには訪問査定を行ってもらう必要があります。
訪問査定では、不動産会社の担当者が現地や役所に赴き、物件の状況や周辺環境などを調査して査定額を算出します。
査定額は不動産会社によって異なる場合があるので、複数社から見積もりを取って比較検討しましょう。
- 査定額に納得したら、売却の仲介を依頼する不動産会社を決めて媒介契約を結ぶ
媒介契約には「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類がありますが、一般的には「専属専任媒介契約」が最もメリットが多いとされています。
媒介契約を結ぶ際には、物件状況等報告書や付帯設備表などの書類を記入する必要があります。
- 媒介契約後は、不動産会社が販売活動を開始する
物件情報サイトや新聞広告などで物件を宣伝したり、内覧希望者に対応したりします。
買主候補が見つかったら、価格や条件の交渉を行い、合意に至れば売買契約を結びます。
売買契約では、重要事項説明書の読み合わせや売買契約書の締結、手付金の授受などが行われます。
- 契約時に決められた引渡し日までに、残代金の支払いと物件の引渡しを行う
引渡し時には権利証や鍵なども渡し、所有権移転登記をおこないます。
- 売却益が出た場合は確定申告(翌年)
不動産会社の探し方
不動産会社を選ぶ際には、いくつかの注意点があります。
- 同じ会社でも店舗や担当者によってサービスの質が異なることがあるので、複数の不動産会社を比較することが大切です。
- 仲介手数料は不動産会社や物件によって変わるので、あらかじめ確認しましょう。
また、不要なオプション料金を請求されないように注意することも重要です。
- いきなり店舗に行かず、事前にポータルサイトなどで情報収集をすることがおすすめです。
- 不動産会社の規模や看板だけで判断せず、信頼できる担当者やフィーリングの合う会社を選ぶことが大切です。
複数の不動産会社に売却査定を依頼したときの担当者の対応などが参考になります。
相性があい適正に対応してくれる信頼できる業者に依頼しましょう。
不動産売却仲介の種類
不動産売却仲介とは、不動産会社が売主と買主の間に立って、売買契約を成立させることをいいます。
不動産会社に仲介を依頼するときに結ぶ契約を媒介契約と呼びますが、この媒介契約には3つの種類があります。
- 一般媒介契約
複数の不動産会社と媒介契約を結ぶことができる契約です。
売主は自分で買主を見つけることもできます。
不動産会社の指定流通機構(レインズ)への物件情報の登録や業務報告などは任意なので売主から確認する必要があります。
- 専任媒介契約
1社の不動産会社とだけ媒介契約を結ぶことができる契約です。
売主は自分で買主を見つけることもできます。
不動産会社は指定流通機構への物件情報の登録や業務報告などを義務付けられます。
- 専属専任媒介契約
1社の不動産会社とだけ媒介契約を結ぶことができる契約です。
売主は自分で買主を見つけることができません。
不動産会社は指定流通機構への物件情報の登録や頻繁な業務報告などが義務付けられます。
これらの媒介契約の種類によって、売主の自由度や不動産会社の対応が変わります。
一般的には、専任や専属専任の方が不動産会社が全力で買主を探してくれる可能性が高いですが、一般では複数の不動産会社に依頼できるため、買主を見つける機会が広がる可能性もあります。
不動産売却にかかる費用
不動産売却時にかかる主な費用は次のようになります。
- 仲介手数料:売却価格の3%+6万円+消費税(上限)
- 印紙税:売買契約書に貼る印紙代(2024年3月31日まで軽減措置あり)
- 登記費用:抵当権抹消登記などにかかる登録免許税や司法書士報酬
- 不動産譲渡所得税:不動産譲渡所得×所得税率(特別控除あり)
- 引越し費用:旧居から新居までの運搬費
- リフォーム・クリーニング費用:物件の状態を良くするための修繕費や清掃費
- 土地境界確定測量費用:土地の境界を明確にするための測量費
- その他:廃棄物処分費や解体費など
住宅ローンが残っているときの売却方法
住宅ローンが残っているときに家を売却するには、基本的にローンの残債を完済する必要があります。
これは、金融機関が住宅ローンの担保として設定した「抵当権」を抹消しなければ、第三者に売却できないからです。
ローンの残債が残っているときの売却方法には以下の6つがあります。
- 手持ちの資金で支払って売却
貯金などの自己資金でローンを完済し、抵当権を抹消した後に売却する方法です。
自己資金が十分にある場合に適しています。
仲介手数料以外の費用を抑えられるメリットがありますが、自己資金を使うデメリットもあります。
- 売却代金でローンを返済
売却代金でローンを完済する方法です。
売却代金がローン残債よりも高い場合(アンダーローン)に適しています。
売買代金の授受と住宅ローンの返済と同時に行うため、事前の準備が必要です。
- 住み替えローンを利用
家の買い替えを行う際に、返済できなかったローンの残債を上乗せして新たに借りるローンです。
買い替えローンとも呼ばれます。
売却代金がローン残債よりも低い場合(オーバーローン)に適しています。
スムーズに買い替えできるメリットがありますが、借入額が増える点がデメリットになります。
- つなぎ融資を利用
一時的な資金調達のためにつなぎとして利用する短期型の融資です。
新たに購入する物件代金の支払日が売却する物件代金の受領日より先に来てしまう場合に適しています。
資金繰りに困らないメリットがありますが、高い利息や返済期限の厳しさがデメリットです。
- 任意売却
住宅を売却してもローンが完済できないと見込まれる場合に、ローンを組んでいる金融機関の合意の上で物件を売却する債務整理手続きです。
離婚や収入減などで現実的にローンの一括返済が難しい場合に適しています。
競売よりも高く売れる可能性があり信用情報への影響が小さいことがメリットですが、自己破産と同じく任意整理という形式であることや手続きが複雑で時間がかかることがデメリットです。
- リースバック
不動産会社に物件を売却し、その後も賃貸として住み続ける方法です。
住み慣れた家を離れたくない場合に適しています。
住み替えの手間や費用がかからないメリットがありますが、賃料を支払う必要があることや売却価格が安くなることがデメリットです。
また、リース会社への売却代金で住宅ローンを完済できない場合にはローンの組み換えを利用するなど既存のローンの返済が残ります。
境界トラブルがあるときの売却方法
境界トラブルとは、土地の境界線や境界標の位置、境界付近の建物や塀などに関して、隣地所有者と意見が食い違うことによって発生する紛争のことです。
境界トラブルがあるときに土地を売却するには、以下の方法があります。
- トラブルを解決してから売却する
境界トラブルを解決するためには、隣地所有者と話し合って合意に達するか、法的な手続きを踏む必要があります。
話し合いで解決できる場合は、境界確認書や境界変更契約書などの書面で合意内容を明確にしましょう。
法的な手続きで解決する場合は、筆界特定制度や裁判などの方法があります。
筆界特定制度とは、法務局の登記官が土地家屋調査士とともに現地で筆界を特定し、登記簿に反映させる制度です。
裁判とは、民事訴訟法に基づいて裁判所に境界確定の請求を行う方法です。
この方法は時間や費用がかかりますが、確実に結果が出ます。
トラブルを解決してから売却するメリットは、売却価格や条件が有利になることです。
デメリットは、解決までに時間がかかることや、隣地所有者との関係が悪化することです。
- トラブルをそのまま売却する
境界トラブルをそのまま売却する場合は、不動産会社に仲介を依頼するか、不動産会社に買取を依頼するかの方法があります。
不動産会社に仲介を依頼する場合は、境界トラブルの事実や内容を正直に伝える必要があります。
不動産会社は、その情報を買主候補に開示し、買主候補の同意を得てから契約を進めます。
不動産会社に買取を依頼する場合は、不動産会社が直接物件を買い取ってくれますが、買取価格は相場より安くなります。
トラブルをそのまま売却するメリットは、スピーディーに売却できることです。
デメリットは、売却価格や条件が不利になることや、買主からのクレームや訴訟のリスクがあることです。
不動産がなかなか売れないときの対処法
不動産が売れない理由は、主に以下の5つです。
- 販売価格が不適切
- 物件自体に何らかのマイナスポイントがある
- 不動産会社の対応が悪い
- 市場環境が悪い
- 売却時期が悪い
不動産が売れない場合には以下のような対処法を検討してみましょう。
- 販売価格を見直す
販売価格は不動産売却の最も重要な要素です。
販売価格が高すぎると、買主候補が見向きもしません。
販売価格が適正かどうかは、周辺の成約事例や不動産会社の査定額を参考に判断しましょう。
3ヶ月以上経っても反応がない場合は、値下げを検討することが必要です。
- 物件の魅力を高める
物件自体にマイナスポイントがある場合は、リフォームやクリーニングなどで改善することができます。
外観や内装、設備などに問題があると、買主に悪い印象を与えます。
物件の魅力を高めることで、買主の興味や満足度を引き上げることができます。
- 不動産会社を変更する
不動産会社の対応が悪い場合は、別の不動産会社に依頼することも一つの方法です。
不動産会社によって得意分野や販売力が異なります。
自分の物件に合った不動産会社を選ぶことで、販売活動や広告戦略を効果的に行ってもらえます。
不動産会社を変更する際は、媒介契約の内容や期間に注意しましょう。
- 市場環境を見極める
市場環境が悪い場合は、売却を見送ることも考えられます。
市場環境は、金利や景気、季節などによって変化します。
市場環境が悪いときは、需要が低下し、価格も下落します。
市場環境が良くなるまで待つことで、より有利な条件で売却できる可能性があります。
- 売却時期を見直す
売却時期も不動産売却に影響します。
一般的には、2月~3月や9月~12月は不動産の取引が活発になる時期です。
これらの時期は、新年度や新学期に合わせて住み替えを考える人が多くなります。
逆に、年末年始やお盆などは不動産の取引が低調になる時期です。
これらの時期は、人々の関心が不動産から離れます。
売却時期を見直すことで、より多くの買主候補にアピールできる可能性があります。