住居表示と地番の違いは?

法務局に登記記録を請求しに行ったところ、「地番でなければ登記事項証明書(登記簿謄本)はとれません。」と言われて戸惑ってしまったり、マンションを購入して権利書を渡されたけど「不動産の表示」に住所と違う番号が記載されていたので「これってあってるの?」と疑問を持たれたりする方がいます。

不動産を売却・購入をするとき、相続登記をするときなど登記が必要な時には「住居表示」ではなく「地番」が必要です。

この記事では、住居表示と地番の違い、また地番の調べ方について解説します。

以前は地番が住所だった

一般の方が地番と住居表示を混同してしまうのは無理がないことではあります。

というのは、以前は地番を住所として使っていたからです。

「以前」と表現していますが、現在でも「住居表示実施」されていない地域はたくさんあるので、そのような地域は現在でも地番が住所です。

地番だと場所がわかりづらい

地番では実際に現地がどこにあるのかわかりにくく、訪問しにくいことがあります。

「地番」は土地につけられた他の土地と区別するための符号であり、法務局が管理しています。

この地番は、分筆した順番に枝番が付けられ、合筆すると地番がなくなります。

下の図をみてください。

もとは左上から123-1から順に枝番が2・3・・と順序良く並んでいた地番が、123-7が123-6と合筆してなくなり、分筆したことにより123-1の下に123-10、123-5の隣に123-9が並んでいます。

このように地番は合筆されて欠番になったり、分筆によって枝番が規則正しく並ばなくなったりするために場所がどこにあるのかわかりづらくなってしまいます。

住居表示をして正確な場所がわかるようにする

住所がどこにあるのかわかりにくいと、郵便や宅配便の配達に困りますし、よそから訪ねてきた方も迷ってしまい、市民生活に支障があります。

そのため場所をわかりやすくするために住居表示の制度が設けられました。

具体的には昭和37年に制定された「住居表示に関する法律」によることになります。

住居表示に関する法律 | e-Gov法令検索

住所の決め方

住所は町名に「番」・「号」をつけて表示されます。

番・号のつけ方を会津若松市のサイトから引用しながら解説します。

https://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2007080603129/files/R2setsumeikai.pdf

街区符号(住所の〇番)

次の図は街区符号(〇番)のつけ方です。

「千鳥蛇行方式」により、最も北東に位置する街区を起点として一連の番号を振っていきます。

この番号の振り方については、主な進入路が整備されている住宅団地などで団地入口に近い街区を起点にして番号をつける方法によることもあります。

住居番号(住所の〇号)

次に住居番号(〇号)の決め方については下の図をみてください。

原則として北東の角から右回りに10m間隔で基礎番号を振っていき、建物の主な出入り口(玄関)がどの基礎番号にあたるかによって住居番号が決まります。

袋小路に面している建物など同じ基礎番号に複数の建物があるときにはさらに枝番号をつけて区別することがあります(1番4-2号など)。

また、マンションなどの集合住宅では住居番号に部屋番号をつけて表示することがあります(1番4-205号など)。

地番の調べ方

上記のように、地番は法務局が管理するもので、住居表示は市町村が決めるものです。

そのため、たまたま似た数字になることもありますが、それは偶然であり、地番と住居表示とは関連がありません。

登記をするときや登記事項を調べたいときには地番が必要ですが、市町村役場では教えてくれません。

地番を知りたいときには、以下の方法を利用しましょう。

  • 権利書
  • 売買契約書
  • 固定資産税の納税通知書
  • 法務局に電話
  • ブルーマップ
  • 公図

権利書

自分が所有している不動産なら権利書を確認しましょう。

権利書とは売買や相続によって取得した登記をした時に法務局から交付された登記済証あるいは登記識別情報通知書のことです。

また、権利書が見当たらなくても登記事項証明書(登記簿謄本)が手元にないか調べてみましょう。

売買契約書

売買で取得した場合、売主と売買契約を交わしているはずなので売買契約書をさがしてみましょう。

固定資産税の納税通知書

毎年4月ごろに市町村役場から送られてくる固定資産税の納税通知書に地番が記載されています。

法務局に電話

法務局の代表番号に電話して案内にしたがい番号を入力すれば住所から地番を教えてくれるサービスにつながります。

とくにマンションだとマンション名からも地番を教えてもらえるので便利です。

ブルーマップ

法務局や図書館などに備え付けられているブルーマップという地図には地番と住居表示番号が重ねて記載されているので、住所がわかれば地番がわかります。

公図

法務局には地番で表示されている地図が備え付けられており「公図」とよばれています。

市販の地図と照らし合わせながら公図から地番をみつけることができます。

ただし、公図の閲覧を請求するためにも地番が必要なのでおおよその地番がわかっていなければ公図の閲覧ができません。