今回は、宮城県塩釜市にある「塩竈神社」をご紹介します。塩竈神社は「志波彦神社(しわひこじんじゃ)」と「塩竈神社(しおがまじんじゃ)」の二社が同一境内に鎮座しています。東北鎮護・陸奥国一之宮として祟敬をあつめ、とりわけ商売繁盛、安産守護、海上安全、大漁祈願にご利益があります。塩の神さまがまつられていることから浄化作用のあるパワースポットとしても有名です。(今回の記事内の鹽竈神社の表記は、主に報道が使う塩竈の表記で書いています。)

初詣も有名「しおがまさま」をお参りに

塩竈神社の歴史は古く、創建年代は明らかではありませんが、その起源は奈良時代以前になります。平安時代初期、嵯峨天皇の御代に編纂された「弘仁式」に「鹽竈神を祭る料壱万束」と記され、厚い祭祀料を授かっていたことが記されています。古くは朝廷や武家社会となってからは奥州藤原氏、江戸時代には仙台藩伊達家が厚く信仰していました。

元はこの土地に塩竈神社のみが鎮座していましたが、明治時代に志波彦神社が境内に遷座し、現在は正式名称を「志波彦神社・鹽竈神社」とし1つの法人となっています。

写真の志波彦神社には志波彦大神が祀られています。あまり馴染みのない御神名ですが、『延喜式』の神名帳に記載されている2861社の中、わずか225社しかない「名神大社」と言う格別の崇敬を朝廷より受けていた神社です。志波彦大神は農業の守護神と伝えられています。

 

▲志波彦神社の大きな鳥居

左右宮拝殿

▲左右宮拝殿には武甕槌命・経津主神が祀られています

塩竈神社の左宮に武甕槌神(たけみかづちのかみ)・右宮に経津主神(ふつぬしのかみ)、左右宮の右手にある別宮に主祭神である塩土老翁神(しおつちおぢのかみ)が祀られています。武甕槌命・経津主神が東北を平定した際に両神を先導した塩土老翁神がこの地に留まり、現地の人々に製塩を教えたことに始まると伝えられています。左右宮は武道をつかさどり武運を守る神、別宮は塩の神・安産の神として人々の信仰を集めています。

天然記念物「鹽竈ザクラ」

鹽竈ザクラは古くから歌に詠まれた著名な桜で、平安時代から既に境内に生育していました。境内の27本が国指定の天然記念物となっています。サトザクラ系の八重桜で、35~50枚の花弁を付け、花の中心のめしべが変化して2~3枚の小さな葉に変化します。開花時期はやや遅く4月下旬~5月上旬に見ごろを迎えます。

塩竈神社③
塩竈神社④

例年7月の「海の日」に行われる「塩竈みなと祭」も有名です。塩竈神社が出発地点となり陸奥国一宮 志波彦神社・塩竈神社の御神輿を乗せた「御座船 鳳凰丸・龍鳳丸」が日本三景の松島湾を巡幸します。およそ100艘もの飾りたてた御供船を従えて松島湾内を巡幸する様子はまさに圧巻。日本三大船祭りの一つに数えられています。

志波彦神社の鳥居前からの眺めは海が見渡せる絶景スポットです。庭園から望む景色は、松島、遠くに金華山を見ることができます。塩の力で邪気を追い払い、ご利益を授かりに「志波彦神社・塩竈神社」へお参りに来てみてはいかがでしょうか。

 

塩竈神社
宮城県塩竈市一森山1−1

公式サイト http://www.shiogamajinja.jp/