不動産引き渡しまでの流れとは?

不動産の売買契約をすると準備期間を経て売却手続きの最終段階となる「決済」・「引渡し」を行います。

はじめて不動産を売却する方にとっては決済とは何をするのか、何を準備すればよいのか、不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、不動産の売却にかかる決済の流れと準備しておきたいことについて解説します。

不動産売却の決済

不動産売却での決済とは売買代金を受け取り、不動産を引渡すことをいいます。

不動産売却の最終段階であり、決済引渡しをもって無事に売却手続きが完了となります。

売主にとっては大事な不動産を買主に引渡してよいのか、買主にとっては代金を支払ってもよいのか、不安に感じることもあるでしょう。

このように、決済は売主・買主双方が大事な財産をやりとりする場になるので無事にすすめることができるように慎重に準備をして決済当日を迎えるようにしたいものです。

決済の進み方

売買契約時におおよその決済期限を決めておいて期限が近付くと売主買主の都合を調整しながら決済の日時・場所を仲介する不動産会社がとりまとめていきます。

通常の決済では以下のように決済がすすんでいきます。

  1. 決済場所に関係者が集合する
  2. 司法書士が売買に関する書類の確認をする
  3. 売買代金の授受をする
  4. 鍵や確定測量をした成果品などの引継ぎ書類の授受をする
  5. 解散

決済場所に関係者が集合する

あらかじめ調整して決められた日時に関係者が決済場所に集まり決済が始まります。

決済場所に選ばれるのは不動産会社や金融機関がほとんどです。

買主が住宅ローンを利用する場合には住宅ローンを融資する金融機関で決済をすることが一般的です。

集合する人

決済には以下のような関係者が集合します。

  • 売主
  • 買主
  • 仲介した不動産会社
  • 買主のローン担当者
  • 売主のローン担当者
  • 司法書士

売主や買主が家族を同伴することもあります。

決済当日に集合する人数によっては広いスペースが必要になるので仲介する不動産会社に売主側は何人出席する予定かを伝えておくとよいでしょう。

決済が終わるまで30分~1時間半程度かかります。

この時間のほとんどは金融機関が入出金の処理にかかる時間なので金融機関の込み具合によって左右されます。

小さい子どもを同伴するときには子どもが退屈しないように好きなおもちゃや絵本などを持参するとよいでしょう。

売主や買主は本人出席が原則

決済当日は、売主や買主の当事者全員が出席するのが原則です。

仕事などの都合で決済当日の出席が難しいときには、事前に「司法書士との面談」を行ってください。

司法書士が売買に関する書類の確認をする

不動産の決済には司法書士が立ち合い売買に関係する書類などの確認を行います。

司法書士は決済の場で次のような確認をします。

  • 売主や買主が本人であることの確認
  • 売主や買主に売買する意思があることの確認
  • 間違いなく買主に所有権移転登記ができる書類の確認

司法書士が確認する書類

司法書士が売主から受け取る書類等は次のようになります。

  1. 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなどの写し)
  2. 権利書(登記済証・登記識別情報)
  3. 印鑑証明書(有効期間3ヶ月)
  4. 実印
  5. その他住所変更などの前提登記の資料
  6. 売主に住宅ローンなどの借入があれば抵当権の抹消書類

権利書がなくても代替できる

司法書士が立ち会う場合には万が一権利書がないときでも代わりの手続きによって決済をすすめることができますが費用がかかること。また決済をスムーズに行うために決済前に確認をしておきましょう。

本人確認書類と印鑑証明書、実印は必ず必要ですから忘れないようにしましょう。

売主の抵当権

売主に住宅ローンなどの借入があり抵当権が設定されていれば抵当権の抹消をしなければなりません。

一般的には売買代金を住宅ローンの返済に充てることが多いので抵当権の抹消手続きは決済と同時に行うことになります。

売主の抵当権をつけている金融機関が決済に立ち会うこともありますが、立ち会わないこともあります。

立ち合いをしないときには、売買代金を抵当権をつけている金融機関に返済資金として振り込み司法書士が着金を電話で確認しておきます。

司法書士が決済が終わり解散した後にその金融機関に抹消書類を受け取りに行きます。

抵当権の抹消書類の準備に2週間~3週間程度必要ですので抵当権が設定されているときには、十分余裕をもって金融機関に連絡をしておきましょう。

売主の住所変更

引越しなどによって登記記録に記録されている住所と印鑑証明書の住所が異なるときには、住民票など変更履歴がわかる公的な書類が必要です。

連続した履歴が必要ですから事前に司法書士などに確認してもらうことをおすすめします。

司法書士の役割

売買代金の支払と不動産の引渡しは同時に交換されるものです(同時履行)。

司法書士が決済に立ち会い売主の書類等を確認して買主に確実に所有権移転登記ができることを保証することで買主は安心して売買代金を支払うことができます。

このように買主が安心して売買代金を支払うことができる状態とは売主からすれば確実に売買代金を受け取ることができる状態になることです。

売買代金の授受をする

司法書士が買主に確実に所有権移転登記ができる書類を確認したことを伝えると買主が売主に売買代金を支払います。

売買代金の支払い方法として現金や振込の方法がありますが、犯罪防止の観点から振込の方法で支払うことが多くなっています。

売主は振込口座に誤りがあれば代金を受け取ることができないので、誤りがないように振込先の通帳を決済場所に持参しておくと安心です。

金融機関の窓口に払い出しや振込の伝票を提出してしばらく時間がかかるので、その間に不動産の引渡しに必要な書類等の授受をすすめていきます。

鍵や確定測量をした成果品などの引継ぎ書類の授受をする

売買代金を現金や振込の方法で受け取ったら買主に領収書を渡し、売却した不動産の鍵や境界画定・測量をした成果品なども渡します。

一戸建ての住宅なら建築確認書、マンション場合は規約や総会議事録などを買主に引き継ぐとよいでしょう。

解散

売買代金を受け取り、不動産の引渡しが完了すると売却手続きは終了です。

仲介をした不動産会社や立会した司法書士に手数料を支払えば決済は完了となり、解散します。

売却決済に向けて準備するもののまとめ

決済に向けて準備する代表的なものをまとめています。

具体的には仲介する不動産会社の担当者に確認しましょう。

買主への所有権移転登記に必要なもの

  1. 本人確認書類
  2. 権利書(登記済証・登記識別情報通知書)
  3. 印鑑証明書(有効期間3ヶ月)
  4. 住民票・戸籍謄本など(必要な場合)
  5. 実印

買主へ引き継がなければならないもの・引き継いでおきたいもの

  1. 家などの鍵類
  2. 建築確認通知書・検査済証
  3. 実測図・建築図面
  4. 建築協定書
  5. 付帯設備や残置する家電などの取扱説明書・保証書
  6. マンションではパンフレット・管理規約・使用細則・管理組合の総会議事録など
  7. 借地権譲渡承諾書など権利関係を証明するもの