不動産売却後の確定申告

自営業でなければ通常は確定申告をする必要はないのですが、不動産を売却した時には確定申告が必要になることがあります。

今回は不動産を売却したときの確定申告について解説します。

確定申告が必要な場合とは

不動産を売却したからといって必ず確定申告をしなければならないわけではありません。

しかし、確定申告をしなければ受けられるはずの減税を受けるチャンスを逃してしまい「損」をしてしまうかも・・

確定申告をしなければならない場合は次の通りです。

  • 不動産を売却して利益(不動産譲渡所得)がでた場合
  • 税金の軽減特例を受ける場合

注意しなければならないのは利益がでた場合だけでなく、損になったときでも確定申告をすれば得になる(マイナスをカバーできる)場合があることです。

なお、不動産譲渡所得は分離課税になっているので、通常の所得とは分けて計算し所得税と住民税が課税されます。

No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁

売却利益の計算方法

不動産の売却利益の計算は通常の商いと同じです。

売買代金-仕入れ値

が利益になります。

不動産の「仕入れ値」には、購入時の費用と売却時の費用をそれぞれ加算できます。

購入時の費用

  • 土地の購入費用や建物の建築代金(減価償却が必要)
  • 購入時に払った仲介手数料
  • 売買契約書に貼った収入印紙
  • 登記の際の登録免許税
  • 住宅ローンの金利
  • 増改築をしたときの工事費用

など

売却時の費用

  • 売買契約書に貼った収入印紙
  • 土地の測量費用
  • 建物の解体費用

など

以上のほか事例によって「特別控除額」が認められる場合があります。

申告はいつするの?

確定申告は売却した翌年の2月16日から3月15日の期間内に行います。

確定申告をしなければ、受けられるはずの軽減を受けることができないばかりか、無申告加算税や延滞税がかかるペナルティがあるので注意しましょう。

No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁

確定申告をすれば減税できる

確定申告をすれば譲渡所得税の軽減を受けることができます。

No.3223 譲渡所得の特別控除の種類|国税庁

ここでは、マイホームを売却した時に受けることができる特例について解説します。

マイホームを売却して利益がでた場合

  1. 3,000万円特別控除
  2. 所有期間が10年超しの場合の軽減税率の特例
  3. 買換えの特例

3,000万円特別控除

自分が住んでいた建物や土地(借地を含む)を売却したときには一定の条件にあてはまる場合に譲渡所得額を限度として3,000万円の特別控除を受けることができます。

No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

親が居住していて空き家になっていた建物を売却したしたときにも同様の特例があります。

No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

所有期間が10年超しの場合の軽減税率の特例

売却した年の1月1日時点で土地建物の所有期間が10年を超えていることなど一定の条件を満たしていれば6,000万円までは所得税(10%)、住民税(4%)となるなど税率の軽減を受けることができます。

こちらの用件は10年「以上」ではなく「超えて」いることが条件になっています。ちょうど10年だと適用されないので注意しましょう。

No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁

買換えの特例

居住していた不動産を売却した年の前後3年間(前年・当年・翌年)に買い替えをした場合には、所有期間が10年超し、あるいは居住期間10年以上、など一定の条件を満たしていれば譲渡所得の課税を繰り延べることができる特例です。

「繰り延べ」されるだけで「非課税」になるわけではありません。

なお、先の「3,000万円の特別控除」や「軽減税率」の特例とは併用できないのでどちらかを選んで申告することになります。

No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例|国税庁

マイホームを売却して損がでた場合

不動産を売却して利益がでた場合だけでなく、マイホームを売却したときに損が発生した場合にも救済措置があります。

  1. 新たにマイホームを買い換えない場合の特例

(居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)

  1. マイホームを買い替える場合の特例

(居住用不動産の買い換えに係る譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例)

売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていることや所得金額が3,000万円を超える年には利用できないなどの制限があるので確認しましょう。

新たにマイホームを買い換えない場合の特例

マイホームの売買契約をした日の前日に住宅ローンの残っているときなど、一定の条件を満たしていれば譲渡損失(住宅ローンの残高-売却代金が限度)について損益通算や繰越控除を受けることができる特例です。

No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)|国税庁

マイホームを買い替える場合の特例

新しく居住用不動産を購入した年の年末に住宅ローンの借入があるときには一定の条件を満たしていれば売却した自宅の譲渡損失を損益通算や繰越控除ができる特例です。

No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)|国税庁

準備するもの

確定申告には確定申告書に必要事項を記入し、上記の「仕入れ値」がわかる資料のほか、下記のような書類を準備して提出します。

売却したマイホーム

  1. 登記事項証明書
  2. 売買契約書の写し
  3. 住宅ローンの残高証明書

取得したマイホーム

  1. 登記事項証明書
  2. 住宅ローンの残高証明書
  3. 耐震基準適合証明書

など