太陽光発電付き住宅売却のコツ教えます!
自宅を新築する時に太陽光発電付き住宅にしたけど、今回売却することになった。
そのようなときには、「太陽光発電システム導入の費用を回収できるのか、ややこしい手続きが必要になるのではないか」と不安になることもあるでしょう。
この記事では、太陽光発電付き住宅を売却するときの方法や注意点について解説します。
太陽光発電付き住宅を売却する3つの方法
太陽光発電付き住宅を売却する方法には、以下の3つの方法があります。
1. 付けたまま売却
2. 取り外して売却
3. 新しい家に移設
付けたのまま売却
現在設置してある太陽光発電設備をつけたまま売却することはもちろん可能です。
特に設置して間もないときにはメリットが大きいので一般の住宅よりも高く売却できる可能性もあります。
10年以内の売却なら特に有利
太陽光発電設備を設置してから10年たっていなければ特に有利に売却できます。
その理由は次の2点です。
● 「固定価格買取制度(FIT)」―①
● メーカー保証が受けられる―②
①「固定価格買取制度(FIT)」
太陽光発電には、発電量10Kw未満であれば「固定価格買取制度(FIT)」によって10年間は契約時の買取価格が維持されて、所有者が変わってもそのまま引き継ぐことができるからです。
なお、10Kw以上の場合、固定買取期間は20年に延長されます。
買取価格の詳細はこちらを参照してください。
過去の買取価格・期間等|固定価格買取制度|なっとく!再生可能エネルギー
②メーカー保証が受けられる
さらに、太陽光発電設備はJIS基準で10年間保証があり、メーカーによって異なりますが10年~15年間の保証がついています。
そのため、10年以内なら修繕費用がかからないので購入者は安心して購入できるからです。
このように太陽光発電設備を設置して10年以内なら太陽光発電による売電収入が得られること、太陽光発電のメンテナンスに不安がないことから、10年以内の売却なら通常よりも高く売却できます。
蓄電池があればさらに有利
蓄電池が付いていれば、昼間しか利用できない太陽光によって発電された電気を夜間でも利用できるようになります。
また、蓄電池があれば災害時に非常用電源として利用できます。
このように、電気代の節約と非常時の備えになる蓄電池があればさらに太陽光発電付きであることをアピールできます。
10年経過したからダメ!ではない
10年以内の売却が特に有利なのは上記の通りですが、10年を経過したからといって太陽光発電設備があることが不利にはなりません。
「固定価格買取制度(FIT)」は10年で終わるものの売電ができなくなるわけではないからです。
10年を経過すると自動継続の契約であれば今までと同じ電力会社と、自動継続の契約でなければ新たに電力会社と契約して売電を続けることができます。
固定価格買取時と比べて売電収入は減りますが、一定の売電収入が得られ、家庭での電力消費に利用できるので家計の補助になることは変わりません。
さらに、蓄電池があれば災害時の非常電源としての利用ができます。
近年自然災害が多くなっており、災害時への対策に関心を持っている方が増えていることからも太陽光発電付き住宅であるメリットは10年を経過しても依然としてあると考えてよいでしょう。
取り外して売却
太陽光発電設備が古くなって故障が増え、継続的にメンテナンス費用が必要になっている状態であれば太陽光発電設備があることは 不利になるので思い切って設備を取り外して売却することも検討してください。
太陽光発電設備の撤去費用や処分費用がかかりますが、メンテナンス費用の負担があることがわかっていれば購入する方は少ないでしょう。
撤去には設備の撤去と同時に屋根の補修工事が必要になることが予想されます。
なお、多少のメンテナンス費用を負担するにしても太陽光発電による電気の自家消費や災害対策の用途に魅力を感じる購入希望者も期待できるので、撤去する前に売却を依頼する不動産会社に相談をしながら今後の売却方針を決めていくのがよいでしょう。
新しい家に移設
太陽光発電設備を設置して間もない場合は、新しい家に移設したいと考えてしまいますが、メリットはあまりありません。
移設するには、
● 設備撤去費用
● 屋根などの補修費用
● パネルなどの運搬費用
● 新しい家での設置費用
などがかかるため、新設費用と大差ない可能性があるからです。
移設を考慮するときには、上記の移設費用の他、
● 今の売電収入が維持されるのか電力会社との契約内容の確認
● 新しい家での発電効率
● 移設したときのメーカー保証(受けられなくなる?)
なども検討材料です。
なお、撤去費用を回収するには、リサイクル業者やリユース業者に太陽光パネルの買取を相談することもできます。
太陽光発電付き住宅の売却手続き
太陽光発電付き住宅を売却した後に必要な手続きは主に以下のようになります。
売主の協力が必要な手続きですので積極的に協力しましょう。
1. 経済産業省の名義変更
2. 電力会社の契約者変更
3. 補助金を受けている場合の手続き
経済産業省の名義変更
太陽光発電付き住宅を売却したら、経済産業省に名義変更の手続きをします。
固定価格買取制度(FIT)を利用して売電するときには経済産業省から太陽光発電の「事業計画認定」を受けており、こちらの変更手続きが必要だからです。
事業計画の認定には、所有者・設置場所・設置内容・規模が登録されています。
名義変更は買主から申請するものの売主の印鑑証明書が添付書類になっています。
後からでも申請はできなくはありませんが、売主の印鑑証明書が必要になるため、建物の売却と同時に経済産業省の名義変更を済ませておくのがベストなタイミングです。
変更認定申請・変更届出・廃止届|固定価格買取制度|なっとく!再生可能エネルギー
電力会社の契約者変更
売電している電力会社に契約者の変更と売電収入の受取口座の変更を行います。
変更しなければ、売却後も売主の口座に売電収入が振り込まれてしまいます。
電力会社での手続きに時間がかかることがあるので、口座変更の手続きが終わるまでの売電収入の取扱を売主と買主とで話し合い、トラブルがないようにしておかなければなりません。
契約者変更の手続きは電力会社によって異なります。
経済産業省で名義変更した書類が必要なこともあります。
契約者変更手続きのために、これまでの売電収入の明細書を準備しておけば安心です。
補助金を受けている場合の手続き
「住宅用太陽光発電導入支援対策費補助金」を利用して太陽光発電をしているときに、設置後17年を経過していない場合には、事前に「財産処分承認申請」を行わなければなりません。
補助金を受けている場合、法定耐用年数の17年間補助対象の太陽光発電設備を保守・管理する義務があるからです。
補助を受けた金額によりますが、「残存簿価相当額に補助率を乗じて得た額」を返還しなければなりません。
事前に申請をしなかった場合は、補助金を全額返還しなければならなくなるおそれがありますから、売却前に必ず申請を行いましょう。
財産処分承認申請の手続 – JPEA 太陽光発電協会
自治体から補助を受けていれば自治体に連絡
都道府県や市町村から補助金や助成金を受けて太陽光発電設備を設置している場合には、自治体に連絡して必要な手続きを確認しておきましょう。
太陽光発電付き住宅を売却したときに許可や届出が必要になるなど、必要な手続きは自治体によって異なります。
太陽光発電設備を撤去して売却する際の手続き
太陽光発電設備を撤去して売却するときにも、補助金を受け取っているときには売却と同様に太陽光発電協会に事前の申請が必要です。
太陽光発電設備を新居に移転する際の手続き
経済産業省、電力会社、太陽光発電設備のメーカーに移設の届出が必要です。
移設するとメーカー保証がなくなることがほとんどなので移設は慎重に検討しておきましょう。
移設をするには、先のいろいろな費用が必要です。
太陽光発電設備は技術が進歩して発電効率があがり、価格も安くなっているため、移設するよりも新しく設置した方が有利になることがあります。
太陽光発電付きの家を売却するコツ
太陽光発電付きの家を売却するときには、以下の3点に留意しましょう。
● 収支を明示する
● 複数の査定をうける
● 設備撤去は不動産会社に相談してする
収支を明示する
太陽光発電付きの家の売却では、太陽光発電の収支は大事な要素です。
定期点検の費用、保険、売電収入などの収支を明示することで信頼を得られます。
収支の他にも、点検や修理の記録があればさらによいでしょう。
特に年数が経過している設備ならメンテナンス費用が気になる点ですし、明示しないことで売主に責任が生じるおそれがあります。
複数の査定を受ける
住宅一般に通じることですが、売却するときには複数の不動産会社から査定を受けるのが大事です。
査定の際は、こちらも不動産会社を査定しているつもりで対応するとよいでしょう。
特に太陽光発電付きの家をたくさん扱っている経験豊富な担当者だと売却方法について適切なアドバイスをもらえるので安心してまかせることができます。
設備撤去は不動産会社に相談してする
太陽光発電設備を撤去した方が売却しやすいのか、不動産会社に相談しながら考えましょう。
収支がマイナスになっていても蓄電池があれば災害対策として購入を前向きに考える方がいます。
蓄電池がなくても購入者が設置する可能性もあります。
不動産会社は顧客リストをもっていて最近の不動産市況を知っているので、売却する太陽光発電付き住宅に適した売却方法をアドバイスしてくれます。