不動産の「買取」ってなに?
所有する不動産を売却するには一般の市場に広く購入希望者を募集する「仲介」による売却の他に、不動産会社に直接買取ってもらう「買取」の方法もあります。
今回は不動産買取について解説します。
不動産買取とは
不動産買取とは仲介業者が間に入らないで不動産会社が直接不動産を買取ることをいいます。不動産買取では短期間に不動産を現金化できるなどのメリットがある反面、デメリットもあります。
不動産買取のメリット
不動産買取では次のようなメリットがあります。
1. 条件が悪い土地でも買取ってくれる場合がある
2. 売主の契約不適合責任を負わなくてもよい
3. 短期間で現金化できる
4. 仲介手数料がかからない
5. 秘匿性が高い
1.条件が悪い土地でも買取ってくれる場合がある
一般に条件が悪い土地と言われるのは次のような例です。
● 地盤が軟弱
● 傾斜地
● 立地条件が悪い
● 市街化調整区域
● 再建築できない
● 不整形地
● 土地が広すぎる
● 事故物件
不動産買取会社は多少条件が悪くても買取った後に地盤改良工事などを行い、付加価値をつけて転売します。また土地が広すぎる場合、不動産会社は土地を分割して販売することもできます。
2.売主の契約不適合責任を負わなくてよい
一般の方が購入される場合には売主は契約不適合責任を負い、雨漏りやシロアリ被害など不動産に不都合なことがあれば修復費用などを負担するなど売主としての責任があります。しかし、不動産会社は不動産の専門家ですから事前に必要な調査を行い不具合を知ったうえで購入することがほとんどですし、契約不適合責任を免除する売買契約をしてくれる場合があります。ただし、自分が把握している不具合は全て正直に告知しておくことは必要です。
3.短期間で現金化できる
不動産買取では不動産会社が直接買取りますから、購入希望者を募る手間が省けます。一般の売却方法では、購入希望者を広告などで募集するために3ヶ月程度、売買契約をして代金授受までに1ヵ月程度期間を設けますから最短でも4~5ヶ月程度かかりますが、不動産買取なら不動産買取会社にもよりますが早ければ1週間程度で現金化できます。
また、一般の方が購入される場合には「ローン特約」が付されることが多く、購入希望者のローンが通らなければ売買契約が白紙解約されることもありますが、不動産買取の場合にはこのように解約されることがなく確実に売却できます。
4.仲介手数料がかからない
不動産買取では、仲介ではありませんので仲介手数料はかかりません。
5.秘匿性が高い
一般に購入希望者を募るためには広告をするなど広く購入希望者を求める必要があるので、近所の方や知人の目にふれることがあります。しかし、不動産買取の場合には広告をする必要がないため誰にも知られずに即日売却をすることができます。
不動産買取のデメリット
不動産買取では次のようことがデメリットがなります。
1. 相場よりも安くなる
2. 売主が不利になる契約をしてしまいやすい
1.相場よりも安くなる
不動産買取会社は多少条件が悪い土地でも買取ってくれますが、目的は次の買主様への転売です。
買取った後、付加価値をつけるために修繕や改良工事などを行ないますからその費用を考慮する必要があり、不動産会社の利益を確保することも含めると、一般の市場価格よりも安く買い取らなければいけないのが実情です。
2.売主が不利になる契約をしてしまいやすい
借金を返済するためなどの事情があって早く現金化をしたいために売却をあせって不動産買取を選択する場合には、不利な条件で契約してしまいがちです。注意しましょう。
必ず複数の不動産買取会社に相談しながら、冷静に少しでも有利な売却をすることを心がけることが必要です。
不動産買取の手順
不動産を売却するにはまず、売却しようとする不動産の価値を自分自身で調べることから始めましょう。
1. 相場を調べる
2. 査定を依頼する
3. 売買契約をして代金と引き換えに引渡し
1.相場を調べる
仲介で依頼するにしても、直接不動産買取を依頼するにしても、まずは自分自身で不動産の相場を調べましょう。
相場を調べるためには、不動産会社のホームページや新聞広告などがあります。また国土交通省の次のサイトでも売買事例を知ることができます。
土地総合情報システム
広告などに記載されている金額は売却の希望価格ですが、土地総合情報システムに掲載されている金額は売買契約が成立した価格ですから、より実情がわかりやすい情報です。
2.査定を依頼する
自分自身で相場を調べた後に不動産会社に査定を依頼しましょう。ほとんどの不動産会社は無料で査定をしてくれます。なるべく多くの査定をしたほうがよいので、一括査定を利用すると便利です。
また、必ず査定額の根拠を不動産会社に提示してもらうようにしましょう。
3.売買契約をして代金と引き換えに引渡し
売買価格に納得すれば売買契約をして売買代金と引き換えに不動産を引き渡します。一般の売買では売買契約後1ヵ月程度の準備期間をおくのが通常ですが、不動産買取の場合には早ければ1週間程度で代金の授受まですすみます。もちろん、まだお住まいの場合もありますから、事前に引渡しまでの期間を不動産会社と十分に打ち合わせしておきましょう。
不動産買取での注意点
不動産を直接不動産会社に売却するときには、以下の点に注意しておきます。
1. 着手金は払わない
2. 複数の会社に査定を依頼する
3. 引き渡しは代金と引き換えに
1.着手金は払わない
不動産会社は宅地建物取引業法によって受け取ることができる報酬が定められています。
着手金などの名目で報酬を受け取ることはできませんから着手金などを要求された場合には別の不動産会社に相談しましょう。
宅地建物取引業者が受け取ることができる報酬は次のものです。
● 仲介手数料
● 特別な依頼による広告料金
● 特別な依頼による調査費用や出張費用
2.複数の会社に買取査定を依頼する
1社だけの査定であれば不当に安く抑えられた価格が提示されているおそれがあります。直接買取を依頼する場合でも必ず複数の不動産会社に相談しましょう。
3.引き渡しは代金と引き換えに
不動産の引き渡しは売買代金と引き換えに行なうことが鉄則です。不動産の引き渡しは権利書(登記済証または登記識別情報)と印鑑証明書、建物がある場合には建物の鍵を渡して行います。