平屋と2階建どちらを選ぶ?
平屋のメリット・デメリット
かつては、売りにくいと言われていた平屋建て住宅ですが、住宅市場の変化や暮らし方の変化など社会情勢も変わり、平屋建ての価値が見直されています。今回はそのような平屋建て住宅を2階建住宅と比較しながら解説します。
平屋のメリット・デメリット
平屋建てと2階建住宅とを比較して、次のようなメリット・デメリットがあります。
メリット
● バリアフリーが可能
● 階段がないので足腰に負担が少ない
● 階段がないので有効に使える面積が広い
● 家族とのコミュニケーションがとりやすくなる
● メンテナンス費用を安く抑えることができる
● 構造的に安定する
● 火災などの緊急時に逃げ出しやすい
● 平面なので掃除などの家事が楽にできる
デメリット
● 同じ面積の建物だと2階建よりも建築費が高くなる
● 同じ面積の建物だと2階建よりも広い土地が必要
● 同じ面積の建物だと2階建よりも固定資産税が高くなる
● 水害の被害を受けやすい
● 道路など外部から見られやすい
平屋建て住宅のメリット・デメリットは、平屋建てと2階建の次のような特長の違いからきています。なお、高い・安いは、比較部分以外は全く同じ条件と仮定してのものです。
平屋 | 2階建 | |
購入(新築)費用 | 高い | 安い |
土地の広さ | 広い | 狭い |
家族間の付き合い方 | コミュニケ―ションをとりやすい | プライバシーを保ちやすい |
安全対策 | バリアフリー | 階段が不安 |
メンテナンス | 安い | 高い |
固定資産税 | 高い | 安い |
防災 | 台風や地震に強い | 水害に強い(2階以上) |
防犯 | 外と同じ目線の高さ | 2階以上は覗かれにくい |
平屋建ての方が購入費や建築費が高くなる理由
同じ面積だと平屋建ての方が2階建の建物よりも購入費用や建築費が高くなると言われています。それは次の理由からです。
1. 工事費用が高くなる
2. 広い土地が必要
1.工事費用が高くなる
同じ床面積の建物だと平屋の方が1階の土台部分が広いために、基礎工事(建物の土台の工事)や屋根の面積が広くなるためです。
2.広い土地が必要
建物を建てるときには建ぺい率と容積率による建築制限があります。例えば100㎡の総床面積の建物を建てる場合に建ぺい率が50%の地域であるとすれば次のような違いがあります。
● 平 屋 100㎡÷50%=200㎡
● 2階建(1・2階同型) 50㎡÷50%=100㎡
このように同じ面積の建物の場合建ぺい率50%であれば倍の広さの土地が必要になります。
*建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積(概ね1階の床面積)の割合のことを言います。
入居後にかかる固定資産税やメンテナンス費用
入居後にかかる費用は平屋建てと2階建とでは、平屋建ての方が固定資産税は高くなる一方で、メンテナンス費用は平屋建ての方が安くなります。
平屋建ての方が固定資産税は高くなる
平屋建ての方が基礎や屋根の面積が広くなりますから、新築工事費が高くなると説明しましたが、この建築費は固定資産税評価額に影響します。それは、建物の固定資産税評価額は再建築費がいくらかかるかで、建物の評価額を計算しているためです。一般に固定資産税評価額は建築費の6割程度と言われています。つまり、建築費が平屋建ての方が高いので、固定資産税も平屋建ての方が高くなるのです。
また、建ぺい率の関係で平屋建ての方が広い土地が必要になりますから、土地の固定資産税も土地が広い分だけ高くなります。なお不動産取得税も固定資産税評価額が基準になりますが、住宅用の建物の場合には、不動産取得税を計算する際の控除額が大きいため非課税になる可能性があります。
メンテナンス費用は平屋建ての方が安く済みます
外壁の再塗装などを行なう場合に、2階建の建物の場合はメンテナンス作業のために足場を組む必要があります。足場を組む費用の分だけ2階建の方が、メンテナンス費用が高くなります。
間取り
平屋建てだと2階の重さがありませんから支える力が2階建ほど強い必要がないため、壁や窓を大きくとることができます。そのため開口部が大きな空間を作りやすく、風通しがよい間取りを作れることがメリットです。開放された間取りだと幼い子どもの様子がわかりやすいので安心できますが、子どもが成長してくるにしたがって個室をほしがるようになると、メリットがデメリットに逆転してしまうことになります。
2階建であればキッチンやトイレを1階と2階に設置すればお互いの生活に干渉することなく同居できますから2世帯住宅としても活用できます。逆に、家族同士でコミュニケーションをとりあいたい場合には平屋建ての方がむいています。
防災
建物が高くなるほど揺れや風の影響を受けやすくなりますから、平屋建ての方が地震や台風に強くなります。しかし逆に床上浸水すると平屋建てだと生活スペースがなくなりますが、2階建以上だと生活スペースは確保できるなど災害の種類によってそれぞれの建て方によって有利な面と不利な面とがあります。
ライフスタイルで選ぶ
以上のように平屋建てと2階建のそれぞれにメリットがありデメリットがあります。またライフスタイルの違いによって、例えばコミュニケーションがとりやすいことについても、メリットと考える方がいればデメリットととらえる方がいます。自分たちは、家族は、どのように暮らしていきたいのか、大切にしたいものは何かを相談しながら、ライフスタイルにあった建て方を選択してください。