亡くなった親の家を売ったら税金がかかる?
1.譲渡所得の計算
不動産を売却した時は利益について不動産譲渡所得税を納める必要があります。
譲渡所得は
売却代金+(固定資産税と都市計画税の清算金)-取得費(購入代金+費用)-特別控除額
で計算します。
- 売却代金はそのまま今回の売買金額です。
- 固定資産税や都市計画税は納税義務者の変更年度中は行われないので売買代金支払い時に日割計算して清算します。その清算金も譲渡所得になります。
- 取得費は購入した時の売買代金や建物の建築代金です。
建物の場合は購入代金そのままではなく『減価償却』をした金額が取得費になります。
- 費用は取得したときや売却するために支払った費用です。
登記費用や仲介手数料、測量費用などで、売買契約書に貼る収入印紙も費用になります。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm
亡くなった親の家を売った場合の特例を2つ紹介します。
①親の購入時の売買代金が取得費
亡くなった親の家を売った時の取得費は親が購入した時の売買代金です。取得費とするためには親が購入した時の売買契約書が必要です。また購入した時に支払った登記費用や仲介手数料なども費用になります。
費用として加算するためには領収書が必要になるので同時に探しましょう。この購入代金等が証明できなければ取得費は売却代金の5%しかみてもらえません。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/kisairei/joto/pdf/001.pdfのP33
②相続税も取得費になる
相続によって取得した不動産を売却した時は相続税を取得費として加算できます。
期限や加算できる相続税額など詳細は下記の国税局HPを参照してください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm
2.譲渡所得税の計算
譲渡所得を計算する時に注意したいこと5つ説明します。
- 親の所有期間も通算される
- 短期譲渡と長期譲渡について
- 相続空き家の3,000万円特別控除
- 税務署への申告が必要
- 今年の所得は翌年の保険料などにも影響する
①親の所有期間も通算される
亡くなった親の家を売るときは、親が取得した時から売却までの期間を通算できます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/kisairei/joto/pdf/001.pdfのP34
②短期譲渡と長期譲渡について
所有期間が5年を超えるものを『長期譲渡』といい、5年以下のものを『短期譲渡』といいます。売却した日が基準ではなくて売却した年の1月1日が基準になります。
長期譲渡の税額は
15%+住民税5%+15%×2.1%(平成25年~令和19年まで復興特別所得税)
短期譲渡は
30%+住民税9%+30%×2.1%(平成25年~令和19年まで復興特別所得税)で計算します。
③相続空き家の3,000万円特別控除
亡くなった親が住んでいた空き家を令和5年12月31日までに売った時は3,000万円の特別控除を受けることができます。
- 昭和56年5月31日以前の建築
- 区分建物(二世帯住宅やマンション等)ではない
などの条件があります。
詳細は以下の国税局HPで確認をしてください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
④税務署への申告が必要
税金の控除を受けるためには税務署に申告をする必要があります。申告をしなければ控除を受けることができません。必ず申告をしましょう。
⑤今年の所得は翌年の保険料などにも影響する
亡くなった親の家を売った利益は、売った人のその年の所得に加算されます。そのため、前年の所得によって計算する国民健康保険料などに影響があり、翌年1年分は通常よりも多く納めることになります。不動産譲渡所得税だけでなく、健康保険料などを翌年いくら収めることになるのか、という点にも注意しましょう。