その空き家の火災保険、
本当に大丈夫ですか?
知っておきたい空き家の火災保険
今あなたが所有している『空き家』は、火災保険に入っていますか?空き家になっている理由はいろいろあると思います。
一時的な転勤なので、そのまま空き家にしている場合。
親から相続したものの、自宅が別にあるので空き家になっている場合。
空き家になっている理由と管理の状況によっては、せっかく火災保険に入っていても、いざ必要な時に保険金が支払われない場合があります。
なぜ空き家に火災保険が必要なのか
いろいろな理由によって、現在空き家になっている家屋にはどのようなリスクがあるのか整理してみましょう。空き家を適切に管理していくためには、空き家のリスクを正確に把握しておく必要があります。
空き家の3つのリスク
- 犯罪
人が常時住んでいないため充分に管理できない家屋だと、不審者が知らない間に不法侵入していてもわかりません。不法侵入による被害は盗難だけではなく、火の不始末による火災の原因になることもあります。また、だれも住んでいない家だから、といたずらに放火をされるおそれもあります。
放火及び放火の疑いがある火災が平成29年では5833件おきています。
消防庁『平成30年消防白書』P.80
https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/h30/items/h30_hakusyo_all.pdf
*量が多いPDFのため通信料に注意してください。
- 建物の老朽化
建物が古くなると倒壊のおそれが高くなります。また倒壊まではしなくても瓦が落ちたり、塀が壊れたりして通行人に被害を及ぼすおそれもでてきます。
空き家で管理ができない状態だと雨漏りにも気づけずに放置される可能性もあり、建物のいたみがすすんでしまいます。
- 衛生・外観
長い間空き家になっていて管理できていない建物は換気も悪くダニやゴキブリなどの害虫やシロアリが繁殖しても気付くことができません。
また瓦や外装材がはげ落ちて外観が悪くなってもそのままになってしまうことになります。
以上3つのリスクの中でもとりわけ火災のリスクが大きいものです。
いったん火災が起きると、『重過失』がなければ法律上の責任を負わない(『失火ノ責任ニ関スル法律』)とはいえ、近所の方に謝罪する必要もありますし、火災がおきた建物をそのまま放置すると迷惑をかけることになるため、早急に解体撤去をしなければなりません。しかし、保険金が支払われなければそれらの費用を全て自分で準備しなければならなくなります。
そのため空き家であっても必ず火災保険に入っておく必要があるといえます。
空き家と火災保険
空き家の場合の3つのリスクを整理しましたが、これらのリスクのために空き家だと火災保険に入れないこともあります。
火災保険では建物の利用状況によって次の3つに分類しています。
- 住宅物件
住むために利用している家屋。転勤などで一時的に空き家になっている建物や定期的に使用している別荘などは住宅物件に分類されます。
- 一般物件
店舗や事務所など住居以外に利用している建物。
- 併用物件
上記住宅と一般物件とを併用している物件
相続した親の実家は本来『住宅物件』なのですが、ほとんど使用していない状態であれば火災保険の契約上では『一般物件』に分類されてしまいます。
このため、いままで親がかけていた火災保険をそのまま継続していても「火災保険に入っているから安心」ではありません!保険会社に住宅物件として認定してもらえなければ、いざ火災にあったからと火災保険を請求しても保険金が支払われないおそれがあります。
火災保険料は住宅物件よりも一般物件の方が割高になるのが一般的です。火災保険には火災や風災を補償するものと、日常の災害や突然の事故による破損までカバーするものとがあります。補償内容を充実させた方がいろいろなトラブルに対応できるので安心ですが、保険料も割高になります。補償内容が不充分だと万一のときにせっかく入っている火災保険が役にたたないおそれもあります。
また共済など、空き家だと火災保険に入れない保険会社もあります。けっして自分だけの判断で安心だと決めつけないで、保険会社とよく相談しながら、今のままの火災保険でよいのか、どのような条件の保険に入ればよいのかを充分に検討することが大切です。
空き家だと地震保険に入れない
地震によって火災がおきても火災保険が適用されません。そのため空き家でも地震保険に入っておきたいものですが、地震保険は被災した後の住宅再建を目的とした保険であるために、一般物件とされた空き家では火災保険とセットでは地震保険に加入できないことに注意してください。
ただし、一般物件でも地震保障特約をつけることができる保険商品もあります。親がかけていて、そのまま継続している火災保険とセットになっている地震保険についても、今のままの管理状況で保険が適用されるのか、保険会社とよく打ち合わせをしておいて、万が一のために備えをしておきましょう。