売却査定を依頼するコツと準備すること
査定を依頼する前に準備すること
売却時期と価格を決める
不動産の売却を考えるには、動機や目的があります。転勤のため、自宅を買い替えたい、親から相続したけど使わないなど、様々です。その目的をかなえるために、いつまでに売りたいか、最低限この金額で売りたい、という目標を定めましょう。
住宅ローンの残高を確認する
不動産を売却するには、住宅ローンを組んでいる場合、一括で返済する必要があります。返済後の手取り額で売却の「目的」を果たすことができるのか、確認しましょう。
住宅ローンの残高は返済予定表が手元にあればその予定表を見ればわかりますし、返済予定表がなければ取引先の金融機関から取り寄せることが可能です。
相場を自分自身で調べておく
査定を依頼して金額を言われても、その査定額が果たして妥当なのか相場を知らなければ判断ができません。自分自身でどれくらいが相場なのか、あらかじめ目安を知っておくといいでしょう。
過去の成約価格がわかる国土交通省の土地総合情報システムやレインズマーケットインフォメーションなどを利用できます。
国土交通省の土地総合情報システム
https://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet
レインズマーケットインフォメーション
http://www.contract.reins.or.jp/
査定の種類を知っておく
査定の種類は以下の2種類があります。机上査定は現地調査がない分結果が早くでますが、現地調査をしていないので査定額がそのまま実際の売出価格とはならないことが多いです。
- 机上査定(簡易査定)
地図や過去の成約事例などをもとに、現地に行かずに計算上の査定額を提示します。
- 訪問査定(詳細査定)
実際に現地を訪問し、詳しく物件を調査してから査定します。
手元にある物件資料の確認をする
査定をスムーズにし、より有利に査定をしてもらうためにできるだけ次のような資料を準備しておきましょう。売却する不動産が土地だけなのか、一戸建ての建物か、マンションなのかによっても準備するものが変わってきます。
- 共通して準備するもの
(ア)購入時の重要事項説明書
売買で取得した不動産であれば購入時に重要事項説明書が交付されています。
重要事項説明書にはその地域がどのような用途地域にあるか、どのような災害リスクがあるかなど詳細な説明がされています。この説明書に記載さ
れている事項は売却する際に買主に説明することになり、建築制限などがあれば売却価格に影響があるためです。
(イ)住み心地や周辺環境などのアピールポイントを整理
その地域に住んでいる利便性、例えば近くの公共施設にどんな良いところがあるとか、おすすめのスーパーがあって安くておいしい食材が売られ
ているとか、夜になると星がきれいに見えるとか、住んでいるからこそわかる買主にとってうれしい、良いところを書き出しておきましょう。
(ウ)修繕やリフォームの履歴
シロアリ駆除や外壁の塗り替え工事をした履歴があれば整理しておきましょう。
定期的にメンテナンスが行われている場合はよい評価が得られます。またマンションの場合は数年に一度大規模修繕が行われますので、いつごろ行
われるのかわかれば、売却しやすいかどうかの目安になります。
(エ)固定資産税納入通知書や評価書
査定をするにあたり不動産会社では公示価格も調査します。固定資産税の評価額も公的評価額であり、査定のうえで参考になります。
(オ)土地の履歴
住宅が建っていれば問題がクリアされていることが多いですが、更地の場合は過去の施設によっては土壌汚染や地中埋設物が心配されます。その
ため、過去にどのような施設があったのかを確認しておき、査定の際に説明できるようにしておきましょう。
また過去に水害にあった等の災害の記録も重要です。このようなことは売買契約にあたっての重要な告知事項となり、隠して売買してしまうと
後々大変なトラブルとなりますので、査定の際にきちんと説明しておきましょう。
- 戸建住宅
(ア)境界確認資料
土地だけで売却する場合もそうですが、隣地との境界は一戸建ての場合重要です。最近は境界トラブルが増えていることから、売買に際して土地
の測量をすることが多くなっており、境界確定図面があれば余分な出費がありません。また、隣地からの越境があったり逆の場合もあったりするの
で、早めに確認しておきましょう。
(イ)建築確認書や建築図面
建築に関する図面等があれば構造などを把握しやすいので査定にあたっての重要な資料になりますし、保存されている場合は買主に引き継ぐべき
書類です。
- マンション
(ア)管理規約・使用細則
マンションで生活していくうえでの重要な決まり事ですから、査定の際に提示できるようにしておきましょう。管理の内容も、買主が購入を検討
する際の判断材料となる為、査定の参考になります。
(イ)管理組合の総会議事録等
マンションの管理組合の活動状況がわかり、管理規約や使用細則に反映されていないことがあるので、それらを把握するために手元にあれば査定
に役立ちます。
(ウ)分譲時のパンフレット、間取り図
分譲されたときのパンフレットや当時のチラシがあればマンションの特長やアピールポイントが書かれていますし、間取り図があるので売り出し
準備がスムーズになります。
査定を依頼する前にしなくてよいこと
- リフォーム
壁紙の張替や水回りの取り換えなどのリフォームをしても、売却価格に必ず上乗せできるとは限りません。わざわざ査定の為に修理修繕などはせず、修理修繕が必要と思われる箇所をピックアップしておく程度にとどめましょう。
そのままでは売りに出せないほど汚れたり壊れたりしていれば、売却にあたりリフォームをする場合もありますが、そのままでも売却できる方法など、売り出し方は不動産会社と相談して決めることができます。
特に戸建てやマンションの場合はご自身でリフォームやリノベーションを前提に買う人もいるので、壁紙の汚れや傷などが気にならない買主を探すこともできます。
- ハウスクリーニング
査定をするために、他人が家を実際に見に来るのだからきちんと片付けないといけないと思うのは人情ですが、査定の面から言えば、専門業者のハウスクリーニングをいれるなど必要以上に綺麗にする必要はありません。査定の目的は建物自体の調査です。
同じ片づけをするのなら買主候補が内覧に来る時です。きちんと片付いた家はきっと買主の気をひくことでしょう。内覧の際には、その家での快適な暮らしをイメージさせるくらいに徹底的にきれいになっていれば理想的です。
査定を依頼する時に注意すること
信頼できる不動産会社、担当を選ぶこと
今は「一括査定」という、複数の不動産会社に査定を依頼するサイトが数多くあり、会社ごとに査定額に差があることも当然あります。ただし、単純に「査定額が高いから。」という理由だけで不動産会社を選ぶことは危険です。なぜなら、ただ「高い査定価格」を提示することで顧客(売主様)を囲い込みたいだけの場合もあるからです。
事前にご自身で調べたおおまかな相場と比較し、そして不動産会社に査定価格の「根拠」を必ず確認したうえで、ご納得いただける価格を提示してくれた会社を選びましょう。
また、直接不動産会社の担当者と面談し、その担当者の人柄や熱意、その地域の不動産に対する情報量などを確認しましょう。不動産売却にあたって、担当者との相性はとても大事です。
査定の時に注意すること3つ
- 希望をきちんと伝える
査定を依頼する前に決めていた目標の売却価格、売却までの期間、販売活動方法(近所の人に知られたくないなど)、連絡方法(電話はNG、メールだけ、都合の悪い時間帯など)をはっきりと担当者に伝えましょう。
- セールスポイントを伝える
定期的に行なってきたシロアリ駆除や外壁塗装などの維持修繕は重要なセールスポイントになります。またそこに住んでいる売主様だからこそ分かるお家のメリットや環境などもより多く担当者に伝えてください。
耐震基準の適合証明などをお持ちの場合も、買主にメリットがあるため売却に有利になり、それだけ査定もよい結果になります。
過去にホームインスペクション(住宅診断)を受けていればその結果も重要なセールスポイントになりますので、書類があれば準備しておきましょう。
- 瑕疵をきちんと伝える
売却にあたり、その不動産に瑕疵(目に見えない、または知らされていなかった隠れた傷、不具合)があるのに黙って売ってしまうと「契約不適合責任」売主が問われることがありますので、把握している瑕疵は隠さずに説明しましょう。些細なことでも、判断に迷ったらとりあえず担当者に説明しておきましょう。
瑕疵の種類として次の4つがあります。
(ア)物理的瑕疵
シロアリ被害、雨漏り、家の傾斜、地中埋設物など
(イ)法律的瑕疵
建築制限や用途制限など
(ウ)心理的瑕疵
過去にその場所で自殺や殺人、火災など忌まわしい事故や事件があったこと
(エ)環境的瑕疵
近所の騒音(工場や高速道路など)や臭気(ごみ処理場、汚水処理場など)、日照の問題、振動など
その土地や家のことを一番よく理解しているのは売主様です。査定の際は、より詳しい情報があればあるほど、より信ぴょう性のある査定価格がだせますし、なにより売り出しをする際に、買主のかたも、売主様からの情報が多ければ多いほど、より安心して購入することができるので、売却全体に有利に働きます。