シニアの住み替えを成功させる選択肢
今の住まいの不満はなにかを考える
住み替えを考えるときには、まず今の住まいの不満はなにかを洗い出しましょう。そして、その不満を解消できる方法を考えていきましょう。今住んでいる家が老朽化してきたのが不満だけど、住んでいる場所が気にいっているなら建て替えかリフォームを検討することになりますし、駅の近くや買い物が便利なところ、病院に近い方が良いなら引っ越して新しい住まいを求めることになります。
必要なものと必要でないものを整理していきましょう。
老後の住み替えを成功させる5つの課題
今は元気で健康面に心配がないシニアでも、10年後、20年後を考えて住み替えを考えることが大事です。
安全、安心
足腰が弱ってくれば段差が少ないバリアフリーの住まいが望ましいです。そのためには一戸建ての場合、道路から段差を少なくする工夫が必要(*1)ですし、なるべく平家で階段を上り下りする2階や3階建の住宅は避けたいものです。
(*1)建築基準法施行令第22条
「最下層の居室の床が木造の場合は、床の高さを45cm以上」としなければならないとされています。一定の防腐処理を施せば例外がありますが、この規制により木造住宅の一戸建ての場合道路から玄関までの段差ができてしまいます。
快適
子供が独立すれば細かく区切った部屋は不要ですし、夫婦二人のシニア世帯では今よりもコンパクトな住まいにすることが可能です。ダウンサイジングすることで税金なども安くなります。
便利
高齢になりいずれ運転免許証を返納することを考えれば、普段の買い物や通院に便利な所に住みたいものです。
資産価値
シニア世代の住み替えなので、今回が最後の住まいとなるかもしれません。将来は介護が必要になって介護施設に入居したり子供たちと同居したりするかもしれません。
またいつかはある相続のことも視野に入れる必要もあります。なるべく資産価値がある物件を選んでおけば、いざというときの支えになります。
売却のしやすさも大事です。住み慣れた場所なら人間関係も途切れることがなく、駅に近いなど立地が良ければ賃貸併用住宅に建て替えて家賃収入を手に入れることが可能です。
併用住宅ならしばらく賃貸にだしておいて将来は二世帯住宅として利用することもできます。ただし、二世帯住宅は需要が少ないため、売却しにくいデメリットがあります。
資金計画を考える
シニア世代になると定年を迎えどうしても収入が減少してきます。シニア世代の住み替えに は資金計画がとても重要です。
資金計画をたてるうえで確認したいことは、今後の収入と必要な生活費がメインですが、シニアにとっては健康面でのフォローができる資金を残すことが大切です。預貯金や退職金の蓄えがあるからと、新しい住まいの頭金に使ってしまえば手元に残る資金が限られてしまいます。
今の住まいを売却してできる資金、手元で使える資金、住宅ローンの利用など、バランスがとれた資金計画をたてることが大切です。
シニア世代になっても新たに住宅ローンを利用することが可能ですが、多くの金融機関では申し込みの年齢が70才未満、完済時の年齢が80才未満としています。返済期間が短いので月々の返済を考えると借り入れできる金額は限られます。
今住んでいる家を売却しても住宅ローンが残る場合は『住み替えローン』を利用することができますし、親子二世帯住宅にする場合は『親子リレーローン』や親子が共同で返済していく『ペアローン』の利用も考えられます。
いろいろな選択肢のメリットとデメリットを比較する
住み替えにあたって賃貸か購入か、マンションがよいのか一戸建てがよいのか、その選択肢はいろいろな選択肢があります。
賃貸か購入か
- 賃貸のメリット
賃貸では、月々一定の家賃を支払っていけばよく、まとまった一時金が不要です。購入する場合は資金不足なら住宅ローンを組む必要がありますが、賃貸だとその心配がいりません。余った資金はそのまま老後に残すことができます。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)では、バリアフリー構造になっていて、見守りサービスなどの高齢者にうれしいサービスを受けることができ、必要に応じて介護サービスも受けることができます。
- 賃貸のデメリット
家賃は住み続ける限り毎月支払い義務が発生するので、払い終わるという事がありません。また、契約によれば家賃の他に賃貸契約の更新時に更新料を支払う必要があります。
高齢者の場合は賃貸契約を断られる可能性もあります。年収の低さや健康面への不安があるためで、特に単身世帯の場合は孤独死の心配があるためです。
- 購入のメリット
購入することの最大のメリットは所有権が自分のものになることです。購入して自分のものであれば将来的に売却をすることもできるし、貸し出して家賃収入を得ることもできます。
- 購入のデメリット
購入する場合は物件代金以外にもいろいろな諸費用が必要になります。購入する時には登記費用・住宅ローンを取り扱う金融機関への手数料、購入後は固定資産税やマンションの場合は別に管理費や修繕積立金などが発生します。
マンションか一戸建てか
- マンションのメリット
マンションは駅に近いとか商業施設に近いとか利便性がよい立地にあることが多いです。
日当たりや眺望がよいマンションが多いです。
バリアフリーの生活ができます。エレベーターがついているマンションであれば部屋にはほとんど段差がないので移動が楽です。
建物の修繕や補修の管理は管理組合がしてくれるので建物の修繕を自分で考える心配がありません。
建物全体でセキュリティー対策をしているので安心です。中高層階では窓から泥棒が入る可能性は低いので防犯面や訪問販売を敬遠しやすい点で優れています。
利便性が高い物件は売却しやすく資産価値があります。
マンションは気密性が高いので家の中での温度差が少ないのもシニア世代には安心です。
- マンションのデメリット
管理費や修繕積立金を毎月払い続ける必要があります。築年数がたったマンションだとその費用負担も大きくなります。
大規模修繕が行なわれるときに管理組合に十分な資金が積み立てられていなければ不意の出費が負担になります。
上の階や隣の家の音が気になることがあります。今まで一戸建てに住んでいた人にとってはストレスを感じることになるおそれがあります。
- 一戸建てのメリット
補修や修繕の時期を自分で決めることができます。建物は老朽化していきますが、土地が資産になります。ただし田舎の土地などは相続した時に扱いに困ることになるおそれもあります。
敷地内に駐車場のスペースがもてます。
シニアになり、庭づくりや家庭菜園を始める人が多いので、日々の生活にうるおいや楽しみをもたらしてくれます。
シニアになり子供も独立したのでペットを飼いたい人は多いです。戸建住宅の場合はペットを自由に飼うことができます。
- 一戸建てのデメリット
高い枝の手入れなど、庭の手入れが負担になることがあります。
2階建てなど家の中にも段差があるのが負担になり、2階以上を使わなくなることもあります。
郊外の住宅地は駅から遠いとか、大きな商業施設や病院がないことが多いです。
道路に面しているので悪質な訪問販売などが訪問しやすいです。
二世帯住宅にするとすぐ近くに子供世帯があるため安心感がありますが、親子世帯が必ずしもうまくいくとは限らず、需要が限られているため将来売却しにくい面があります。
シニア世代の住み替えは、今住んでいる家のリフォームや売却から始まり、新しい住まいをどこにどのように求めるか、考えられることは様々です。
リフォームから売却、賃貸まで、総合的に扱っている不動産会社に相談してみましょう。
知識や経験から、よい相談相手になってもらえます。