媒介契約が締結され不動産会社は売却活動を開始します。早い段階で担当者からは「オープンハウス」をおこないたいとのプランがでてきます。
購入者は必ず物件の内覧を経て決断に至るので、内覧希望者が現れるのを待つよりも、積極的に募集をかけるオープンハウスは “攻め” の営業スタイルといえるのです。
売主はオープンハウスの場にいることはありませんので、どのようにおこなわれているのか知ることはありません。しかし大切な資産を継承する人をみつける大事なイベントです。
ここではオープンハウスの実際を解説し、最近用いられることの多くなった “演出方法” についてもご紹介いたします。
オープンハウスの目的
オープンハウスは「見る、確認する、検討する、決断する」と、不動産購入までの必須プロセスを会場でおこない、早い場合にはその日のうちに購入申込されるほどインパクトがあるものです。
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- 来場者が多くなりそうな日程と期間
- 物件の現況に適した演出方法
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これらを検討し「早く売れる」戦略を立てるのがオープンハウスの鉄則です。
ほかにも不動産会社としての目的が実はあります。
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- 会社を知ってもらう
- 不動産の売却を検討中のお客さまを集客する
- 中古住宅を探しているお客さまの集客
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このような狙いも積極的に実施したい理由のひとつになっています。また通常の内覧よりもオープンハウスが有利と考えられる次のような特徴もあるのです。
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- 内覧する場合には事前予約が必要ですが、オープンハウスであれば都合のよい時間、買い物ついでにたまたま時間が空いたなど、あまり時間拘束のない状態で見にくることができます
- 予約の必要な内覧はいわゆる “ひやかし” でやってくる人はあまりいませんが、オープンハウスは “ひやかし”が許される雰囲気があります、そのため軽い気持ちでやってきたはずの来場者が、購入することになる可能性も意外と多いものです
- 購入するかたのなかには同時期に開催されている、あちこちのオープンハウスをスタンプラリーのごとく巡り歩き、最終的に第一候補を絞りこもうと考える人もいます
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注目されるような物件であれば1日に10名を超える来場者があるケースもあり、集客手段としても不動産会社は物件があれば、優先的におこないたい営業手法なのです。
オープンハウスの効果
不動産会社はオープンハウスを販売活動の柱として据えます。その理由は、オープンハウスのほうが購入に至りやすい心理的な作用があり、早期売却が可能と考えられるのです。
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- 演出が効果的な場合、購入後のイメージが膨らみます
- オープンハウス(売主居住中の物件の場合)では売主不在のため、ゆっくり時間をかけて細かくチェックが可能
- ほかの内覧者の存在を意識し、はやく決断しなければ「売れてしまう! 」という切迫感を感じることも
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オープンハウスと異なり内覧の場合は、上記のような心理的作用は薄れてしまい、結論が遅くなることや購入意欲がなくなることも考えられます。機会をつくれるのであれば、オープンハウスが望ましいと考える大きな理由なのです。
また売却物件には所有者が居住中の場合と空き家の場合がありますが、居住中でもオープンハウスは可能です。
居住中では家具や家電そしてさまざまな小物や生活グッズ類がたくさんあり、室内の劣化具合などを確かめることが不可能な場合があります。また売主が立ち会う内覧では、不動産会社の担当者に突っ込んだ質問ができないことも多くあるでしょう。
その点、居住中であってもオープンハウスでは、売主には外出してもらうことが多く、来場したお客さまは納得のいくまで隅々を点検できるのです。
逆に空き家の場合は、生活イメージが浮かばず殺風景すぎるものです。そこで空き家のオープンハウスでは、ある程度の演出が必要となってきます。
オープンハウスの演出
オープンハウスは来場者に対し購入決断を促す舞台装置ともいえるのです。そのためには舞台の演出が重要です。
お客さまを迎えるのは基本的に室内ですが、戸建住宅ではときに玄関前での出迎えをおこなうこともあります。心地よく入室していただく雰囲気づくりが玄関あたりには必要でしょう。
入室するとほとんどの場合リビングが最初のポイントです。窓から入る明るい光や庭の花々が、はじめて訪れたことを感じさせず暖かい気分にさせてくれるかもしれません。
さりげなく物件の特徴を教えてくれる営業マンの態度は、警戒感もうすれて会話もはずみ、滞在が1時間を超えることもあるでしょう。
来場者の疑問などに答える過程でじょじょに不安点が解消され、購入を決断する心の動きがみえてきます。クロージングのタイミングがこうして訪れるのですが、その陰には効果的な演出が影響しているかもしれないのです。
売主が居住中の場合には室内の整理・整頓が、空き家の場合は殺風景さをすこしでも緩和できる、簡単なディスプレーなど効果的です。演出とはいっても、もちろん費用をかけずにおこなう程度のことですが、一輪挿しがポンと置いてあるだけでも違います。
来場者と営業担当が短い間で、人間関係を形成できる環境づくりが大切なのです。
環境づくりを積極的にやろうという動きも、不動産業界に実は生まれています。次に「ホームステージング」といわれるアメリカ発祥の演出方法をご紹介します。
広まってきたホームステージングとは?
日本では住宅産業の主力は新築住宅でした。しかし新築需要の落ち込みにより中古住宅・マンションの売買件数が相対的に増加、新築のモデルハウス・ルームで見られた販売手法が中古物件でも見られるようになってきたのです。
戸建住宅展示場や分譲住宅のモデルハウス、新築マンションのモデルルームには、住空間を演出する家具・家電やインテリアディスプレイが効果的に配置されています。
中古物件においても、購入後のベネフィットを感じられる効果が得られることから、新築同様の演出効果を狙った手法がおこなわれるようになってきたのです。ホームステージングは2013年ころに米国から考え方が導入され、日本でも取り組む企業が生まれました。
ホームステージングはホームステージャーと名づけられた専門家がおこないます。
ホームステージャーは民間資格であり、資格を創設して専門家の育成を図る団体があります。1級と2級の資格認定講座を受講して所定の試験に合格すると、資格が与えられるシステムをとっています。
中古住宅の演出業務以外に不用品の処分や家具のレンタルなど、住空間で生れるあらゆる要求に合わせて、住宅内部を「見せる・片づける・整理する」に特化した職能を提供しているのがホームステージャーです。
まとめ
オープンハウスの目的や効果について、売主さんがあまり知ることのない、不動産業界の営業手法についてお伝えしました。オープンハウスがきっかけで新居を手に入れたお客さま、オープンハウスのおかげで思ったより早く売却できたお客さま、不動産会社にとっても重要なイベントです。
不動産売却での位置づけがきわめて大きいからこそ、演出方法にも変化が生まれることは頷けることでしょう。そのような背景のなか、費用対効果の面でホームステージングは、一定の評価を得てきたと考えられます。
ホームステージングは専門家がおこなう演出方法ですが、媒介契約にもとづく仲介手数料には含まれない費用になります。もし導入しようとお考えの場合は、不動産会社に相談してください。