1988年に「世界一小さな映画祭」として始まった地方映画祭だが、これまでアニメやドキュメンタリー作品など数々の短編映画の秀作を上演してきた。初日は、元NBAプレーヤーのコービー・ブライアントさんが制作を手掛け、米国アカデミー賞最優秀短編アニメーション賞を受けた「Dear Basketball」(アメリカ)の上映で幕を開けた。 子どもたちの視点で蚕の生態を短編映画化した「お蚕さま」は、撮影・編集すべてを子どもたちが行い、普段触れることのない蚕の生態を子どもらしい観察眼で映像化した。作品は鶴川ショートムービーコンテストで町田市長賞を受賞。 お蚕さま」を制作した企画・制作の能勢陽帆さん、制作スタッフの一人で小学生の小島菜緒子さんが舞台に上がり、制作のエピソードを交えてあいさつした。 たまごアレルギーの少年と母親の葛藤と日常を描いたアニメ「サムライエッグ」は、母子が子どものアレルギーを深刻な状況にも前向きに考えていく作品。現代社会の問題として一石を投じた。 スタジオジブリの異色作で、コンピューターを活用した新しいスタイルのSFアニメ「ジュディ・デェディ」は、「ポータブル」「space station No.9」「空飛ぶ都市計画」の3 部作。主人公の少女を軸に、2060年の近未来を軽快に楽しく華やかに描いた。ジブリの中田ヤスタカさん(原案・音楽)と百瀬義行さん(絵コンテ・監督)のコラボ作品。 監督の百瀬さん、プロデューサーの西村義明さんによるゲストトークもあり、「サムライエッグ」や「capsule SF 3部作ジュディ・ジェディ」のCGを使った表現技法や制作の経緯などその舞台裏を明かした。 2日目は米国アカデミー賞最優秀短編実写賞を受けた「The Silent Child」、科学技術映像祭の文部科学大臣賞を受けた、精神障害者の人道的支援の原点に切り込んだ「夜明け前」、沖縄の久高島の神事を撮影した記録映画「イザイホウ」が上演された。この記録映画は12年に1回しか行われない神事を撮影した民俗学貴重な作品。 初日は上映の合間に、すかがわ国際短編映画祭実行委員会顧問の橋本克也須賀川市長が「31回を数えた映画祭は須賀川の大きな宝物になりました。平成からこれから令和につないでいきたい」とあいさつした。 今年は2日間でドキュメンタリー、ドラマ、アニメーション、記録映画の国内19作品、海外9作品合わせて28作品が上映された。]]>