賃貸経営に及ぼす影響
賃貸経営は投資ですから、まずは利回りをしっかりと見極めることから始まります。賃貸用建物を専門に扱う、ハウスメーカーや建設会社は、表面利回りをさかんに訴える傾向にあります。
特に現在は金利が史上最低水準ですから、それと比較することにより、賃貸経営の利回りの有利さが際立つのです。
事業収支計画書は、賃貸物件を建ててもらうための説得材料ですから、見た目の良いデータと数字が並べられ、資料はとても分厚く提供されます。
近年になって、特に目立つのは、金融機関借入の返済期間がとても長いことです。
30年間から35年間がほとんどです。
なぜこんなにも長いのか?
それは短期の借入だと、返済部分が多くなりオーナーの手元に残る現金が少なくなってしまうからです。
建設会社は建設費の集金が済めば終了。金融機関は融資が実行されれば業務は終了(返済リスクは保証会社が負う)。
あとのリスクは全部オーナーが背負うことになります。
賃貸経営に及ぼす影響を考えてみますと、
- ①立地
- ②建設費
- ③ローン金利
- ④家賃
- ⑤管理費用
- ⑥入居者募集
- ⑦空き部屋(空き部屋率)
- ⑧税金
- ⑨建物設備のメンテナンス費用
などが上げられます。
長期に亘って考えてみますと、賃貸経営の難しさが浮き彫りになってきます。
特におおきなものは、空き部屋のリスクです。
長期のローンを組んでの事業ですから、家賃収入からローン返済、税金、必要経費、などを引きますと、手元の残る現金はそんなに多くはありません。
1億のローン(35年返済)を組んで、毎月手元の残る現金が十万円~15万円程度という例も少なくありません。
家賃設定が8万円の部屋であれば二部屋が空きますと、手元にお金が残らなくなってしまいます。
空き室が常に二部屋あるという事業収支計画をハウスメーカーや建設会社は決して提案しないでしょう。
そのようなことでは、賃貸経営の魅力が無くなってしまい、結果として受注が叶わなくなってしまいますから・・。
いわき市では東日本大震災や福島第一原発事故の避難者が流入してくるなどの影響で、新築の賃貸物件が多く建設されましたが、
避難の解除や、福島県借上げ住宅の供与終了、災害公営住宅への移動などで、空き部屋が続々出てきつつあります。
また、少子高齢化、人口減小化の流れが進行しています。
このような社会の流れから将来を見通しますと、これからの賃貸経営は、それが成り立つ地域と難しい地域の色分けをしっかりと行なうことが肝心になってくるのではないでしょうか?
全ては自己責任です。事前研究をしっかりとやりましょう。
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